19世紀の技術メディアが記憶保存メディアであったとすれば、20世紀のメディアは伝達メディアが中心となります。その中でも特に、20世紀前半に代表的となったのがラジオです。その意義を、ヘーリッシュは次のように表現しています。 ラジオによってはじめて可能になる経験は、今日、わたしたちにとってごくありふれたものだが、ラジオが普及しはじめた時代の人々にとっては、二重の意味で不気味なものであった。メディアは第1に、紙、ローラー、フィルムのように手で触れることができるものから解放され、妙に物質性を欠いた、空気のようなものになる。しかしそれによって、メディアは第2に、出来事をリアルタイムで大勢に中継することができるようになる(ヘーリッシュ『メディアの歴史』)。 ラジオの時代が到来する このように、第1次世界大戦の後にラジオの時代が到来したと言われますが、これと同じように表現すれば、第2次世界大戦の後にテレ
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