「人を蔑みましょう」なんてテーマの本が出るわけがないので、これが公然と言われることはないし、また大半の人は無自覚なのだが、蔑むというのは、対人関係においてかなり強力な武器である。 そして、暴力の代わりに使うべきものが、これなのである。 暴力的な人間に「暴力はやめよう」とか「他人と仲良く」とか言うことが多いのだが、実はそれは、いかにももっともらしいだけで、アドバイスとしてあまり正しくない。 衝動性の強い人間が暴力に訴えるのである。 そして衝動性が低く落ち着きのある人間は蔑みで対応するのである。 この認識に至らないと、暴力の問題は解決できない。 他人を蔑む感覚を覚えるのが、暴力を脱する最適な手段なのである。 蔑むというのは、要は、冷静な感覚を持って他人を見ることである。 決してヘイトに満ちた暴言を吐くのではない。 むしろ無言で、ああそうですか、と他人を突き放して見ることが出来るかという問題であ