首都クアラルンプールは町中が赤白青黄の国旗で溢(あふ)れていた。マレーシアの前身、マラヤ連邦が英国との交渉の末に独立したのは1957年8月31日。8月はムルデカ(独立)の月なのである。 今年はマレーシア航空機の相次ぐ悲劇から飾りも控えめと聞いたが、英国統治時代の面影を残すムルデカ広場周辺はとりわけ夥(おびただ)しい数の国旗がはためき、独立記念式典を待つばかりとなっていた。 ところで同連邦を世界で最初に承認した国は日本だが、それを記憶する日本人はもう少ないだろう。これに限らない。 先ごろマレーシアを訪れて痛感したのは、歴史ある両国関係が多くの局面で待ったなしのリフレッシュの時を迎えているのではないかということだった。 82年、当時のマハティール首相の提唱で始まった日本と韓国の発展に学ぶ「ルック・イースト(東方)政策」は右代表だろう。この政策で日本に派遣された留学・研修生は約1万5千人に上る。