山中千尋がニュー・アルバム『ギルティ・プレジャー』をリリースした。これまではコンセプチュアルな作品が多かった印象の彼女だが、ジョン・デイヴィス(ドラムス)と脇義典(ベース)によるNYのレギュラー・トリオで作り上げた今作では、そこがはっきりと見えてこない。リズム・パターンもさまざまで、収録曲はヴァラエティーに富んでおり、そのなかにはどこか抽象的な楽曲もある。そうやって聴けば聴くほど、〈これはもしかして、ものすごく遊びのある異色作なのではないか?〉と思えてきた。現在はバークリー音楽院で講師を務めている彼女は、ジャズの歴史については言わずもがな、さまざまな音楽に広く深く精通している。以前、僕がカルチャー誌のために取材させてもらった時には、クラシックや現代音楽、ワールド・ミュージックまで話題は飛び交い、そのあとも映画やアート全般について縦横無尽に語ってくれた。『ギルティ・プレジャー』はもしかしたら