池田信夫氏が「デフレについての誤解」という題名でデフレについて書かれている。率直に言えば、氏が指摘している4点は新たな誤解を招きかねないものだ。取り急ぎ、議論を敷衍しながら、「デフレについての誤解」の誤解について論じることにしよう。 1.デフレが不況の原因である。 まず確認しておく必要があるのは、池田氏が言うように、デフレと不況とは同義語ではないということだ。IMFや内閣府におけるデフレの定義は、「2年以上継続して物価が下がっている状況」である。この定義からわかるのは、デフレは定義上、景気の悪化を含んだ概念ではないということだ。 勿論、デフレは実質ベースの経済指標を上昇させることで経済に悪影響を及ぼす。名目賃金が下方硬直的であれば、デフレの進展は実質賃金の高止まりを生み、名目利子率がゼロ近傍であったとしてもデフレにより実質利子率は上昇するため、企業の投資は手控えられる。2002年以降の景気