(英エコノミスト誌 2010年10月30日号) フランスのストは下火になっている。だがドイツと比べると、フランスはまだ対処すべき深刻な問題を抱えている。 経営学の第一人者、マイケル・ポーター氏は企業に対し、「真ん中で見動きが取れなくなる」ことがないよう注意を促した。すべての顧客にアピールしようとして雑多な戦略を取る企業は、結局誰にも気に入られずに終わる恐れがある、ということだ。 ポーター氏の主張が企業だけでなく国にも当てはまるとすれば、フランスには心配するだけの理由がある。 経済の構造について言えば、フランスはユーロ圏の真ん中に位置している。自国の位置づけに関する不安とライン川対岸へ向けられる羨望の眼差しは、ドイツ経済の力強い復活によって一段と強まった。 退職年齢の引き上げを巡る最近の争いは、赤字で賄われた家計支出への支援は永遠には続かないという事実を認めるのをフランス人がどれほど嫌がって