中国漁船衝突事件をはじめ菅直人政権をとりまく内外情勢があわただしく動いている。一連の展開であきらかになったのは、菅政権が主体性をもって事態に対応しない、あるいは対応できないために、中国やロシアさらには米国のようなパワフル・アクター(当事者)たちから日本が一方的に追い詰められている悲惨な現実である。 沖縄県尖閣諸島沖で起きた中国漁船と巡視船の衝突事件は、中国が日本人4人の拘束や事実上のレアアース禁輸といった異例ともいえる強腰対応を続ける中、日本側が船長の釈放に応じて一段落した。 外務省担当者が官邸で協議した後、那覇地検に状況説明し釈放に至った経緯からみて、検察の判断に政権の意向が反映したのは間違いなさそうだ。 だが、菅政権は釈放はあくまで検察の判断として政治的関与を認めていない。政治判断であることを認めず、それによって政治責任もまた巧妙に避けているのである。 中国側は船長釈放後、徐々に姿勢を