■□■□■□■□■□ 休日とはいえ我が家の騎士王さまの腹時計は正確なのである。 「寝ぼけ眼を擦りながら居間に行くと、台所から良いにおいが流れてきてシロウが包丁でまな板を叩く音が聞こえる……。ああ、よくぞ日本人に生まれたり」 あんたイギリス人でしょう。 ていうか発想がオヤジ。 若干の不本意さを感じつつも、セイバーが起き出すよりも早く台所に立つ、衛宮家の主たる俺。 過ごしやすい気温の早朝。俺はいつものように台所から朝日を眺めた。 昨日から水に浸けておいたあさりは砂を吐き終わり、今は温めてられている衛宮家スペシャル(ダシ)の前で澄まし汁になることを待ちわびている。 太陽はぽかぽか。小鳥はちゅんちゅん。朝露はきらきら。 そしてひび割れた音がラジオから流れている。曲もまた、古ぼけたラジオにあつらえたような、ふた昔は前のフォークソング。 時が緩やかになったような空間に、時折飛び込む