「西洋古典」の代名詞とも言うべき,詩人ホメロスに帰される二大叙事詩の一つが満を持して登場.10年を掛けたトロイア戦争とその攻略後,さらに10年に及ぶ,狡知と忍耐に長けたギリシアの英雄による漂流・帰国譚.ロトパゴイ,一眼の巨人キュクロプス,魔女キルケ,妖怪セイレン,パイアケス人の王女ナウシカア等々,魅力あふれる登場人物たちは,今も創作家の想像力を刺激しつづける. 中務哲郎(なかつかさ てつお) 京都大学名誉教授 1947年 大阪市生まれ 1975年 京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学 京都産業大学助教授、京都大学教授を経て2010年退職 主な著訳書 『物語の海へ―ギリシア奇譚集』(岩波書店) 『イソップ寓話の世界』(ちくま新書) 『饗宴のはじまり』(岩波書店) 『ヘロドトス「歴史」―世界の均衡を描く』(岩波書店) 『極楽のあまり風―ギリシア文学からの眺め』(ピナケス出版) キケロー