薬を飲むか,飲まないか。手術を受けるか,受けないか――。こうした患者の意思決定がいかになされているかについて,米ハーバード大医学部教授・Jerome Groopman氏がまとめたルポルタージュ『Your Medical Mind――How to decide what is right for you』が,このたび医学書院から『決められない患者たち』として翻訳された。 本紙では,訳者である堀内志奈氏と,医師-患者間のコミュニケーションについて考察を積み重ねてきた尾藤誠司氏の対談を企画。患者が難しい意思決定を迫られる場面で,医師はどのような役割を果たすべきなのだろうか。本書の内容を足掛かりに,在るべき姿の描出を試みた。 尾藤 『決められない患者たち』は,どのような経緯で翻訳することになったのですか。 堀内 そもそもの出合いは,原著者Jerome Groopman氏の前作に当たる『How Do