小説につけられた帯の「TikTokで超話題」という文言を見て、頭の中にハテナが浮かんだ。その小説とは、筒井康隆の名作SF『残像に口紅を』(中公文庫)だ。1989年に発表された小説が、なぜ2021年に「TikTokで超話題」になっているのか? そもそも小説がTikTokで話題になるとは、どういうことか? 動画クリエイターの「けんご@小説紹介」氏は、「小説のTikTok売れ」という全く新しい動きを生み出した張本人だ。TikTokという新たなプラットフォームを通して、読書に興味を持つ若者を増やしている。彼が紹介した小説が重版になることも多く、出版関係者から感謝の声が届いているという。 「出版社の方々に『今まで自分たちでは届けられなかった層に小説が届いている』と感謝していただけて、大好きな小説の世界に貢献できたことをうれしく感じています。実際、10代の方々から『けんごさんの動画をきっかけに初めて小