心理学や心理療法でよく使う言葉に、「感情転移」と「転移性治癒」というものがあります。 何となく簡単にわかるようでいて、実は、とても奥が深い言葉です。 今回のコラムでは、この2つの言葉を取り上げてみましょう。 まずは、「感情転移」についてです(当サイトのメイン・コンテンツのひとつである「サイストリー」では、この「感情転移」という現象を、脳の構造から解説しています。ぜひご覧ください)。 「感情転移」は、日常生活のなかでも、よく見られる現象です。 たとえば、ある人に対して、突然怒りや恐怖の感情を感じたりします。どうしてそう感じるのか、わかりません。 こんな場合には、怒りや恐怖の感情を「抑圧」していることが原因だと考えられます(「抑圧」に関しましては、以前のコラム「神経症と不安障害について」をご参照ください)。 「抑圧」している感情は、本来は父親に対するものだったり、母親に対するもの