気温、マイナス4度。あらゆる樹木や建物が雪に覆われ、民家の板壁に貼られた秋田魁新報のブリキの看板が半分まで隠れている。道路にも慢性的な積雪があり、タイヤの轍(わだち)の部分すらアスファルトの色が見えない。来る前にワー●マンで買った2900円の防寒パンツと1900円のスノーブーツ、980円のインナーウェアが大活躍だ。ワーク●ンはすごい。 雪だるまと化した胸像 顕彰館の前の道の右側は、地域の漢学者である泉沢家の屋敷があった場所だ。1821年、相馬大作(下斗米秀之進)という武士が、盛岡藩(南部藩)の恥をそそぐため隣藩の津軽寧親の暗殺を企てて潜伏した地としても知られ、道路を挟んだ並木の下に記念碑がある。 そこを進んで左に曲がる。体感では傾斜15度ほどの坂があり、いざ登ってみると思ったより長かった。真っ白になった坂の景色は、おそらく“あの人”の時代とそう変わらないだろう。両脇は杉林で、道は狭く大人2