本記事は、久保田晃弘さん(多摩美術大学情報デザイン学科 教授)に寄稿していただきました。 「DIY」(大文字で、ハイフンでつながれて、カッコで括られた “Do-It-Yourself”)という表現が初めて登場したのは、1912年に発行された『Suburban Life』に掲載されたホームデコレーションの記事であった[1]。『郊外生活』と名付けられたこの雑誌は、家の建て方や飾り方といった、いわゆる日曜大工のような初心者向けのコンテンツを提供することを目的とした、まさに「Make:」誌の元祖のような内容のものだった[2]。その後、この「DIY」の文脈を生活の中に根付かせたのは、1914年から1945年にかけての2つの世界大戦であった。日常的に資源が不足し、男性が家庭から離れたこの時期に、女性が自分の手で日々のトラブルに対応し、家庭を維持修繕していくことは、必要であることを超えて必然となっていっ