リスク学は、人と社会の意思決定のための科学です。 平たくいえば、どのような選択をし、どのように生きるのかという「個人としての意思決定」と、どのような対策を進めて、どのような社会を目指すのかというような「社会としての意思決定」に役立つための科学です。 例えば、お酒を飲むか飲まないか、という意思決定について考えてみましょう。お酒を飲めば楽しいけれど(※人によります)、お金がかかるし、たくさん飲みすぎたら肝臓に良くないかもしれません。一方で、お酒を飲まなければ、お金はかからないし肝臓には悪くないかもしれませんが、楽しみは得られません。 このような個人としての意思決定に役立つような科学的知見――例えば、飲み過ぎによる病気のリスクなど――を提示することはリスク学の役割の一つです。また、受動喫煙の規制をするかしないかといった社会としての意思決定についても、社会に生きる人々全体の病気や費用、便益、自由、