本コーナーでは,実験医学連載「Opinion」からの掲載文をご紹介します.研究者をとりまく環境や社会的な責任が変容しつつある現在,若手研究者が直面するキャリア形成の問題や情報発信のあり方について,現在の研究現場に関わる人々からの生の声をお届けします.(編集部) 本稿のタイトルのように大学院生に言われたことがある.これから述べる『研究と創作活動』というテーマについては,おそらくこの言葉にすべてが集約しているのではないだろうか. 私は,研究の傍らに小説を書いているが,それほど古い趣味ではなく,2015年頃に京都大学(当時)と愛知教育大学の友人たちとしていた雑談のなかで「研究費がなくて苦しんでる研究者のライトノベルを書いたらおもしろいのでは」という話になって,はじめてweb小説投稿サイトに登録し,執筆をはじめたのである.この作品『魔法大学院第三呪術研究室には研究費がない』は,幸い多くの反響をいた