短編小説集『回転木馬のデッド・ヒート』は、私が(たぶん)人生で2冊目に手に取った村上春樹の本である。ちなみに最初に手に取ったのは『パン屋再襲撃』。時は(たぶん)2002年、私は高校1年生である。 内容はほとんど忘れていたんだけど、今回実に16年ぶりにこの短編集を再読したので、以下は収録作品すべての感想。 回転木馬のデッド・ヒート (講談社文庫) 作者: 村上春樹出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004/10/15メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 48回この商品を含むブログ (137件) を見る レーダーホーゼン 物事には何においても、前兆というものがある。雨が降る前は雲行きが怪しくなるし、浮気をする恋人はトイレに行くときもスマホを握りしめて離さないだろう。親しい人の死はどんな場合においても受け入れがたいが、それでもせめて、事故や災害で突然目の前から消えていなくなるよりは、永遠の