駿府城の天守閣を再建しないのならば寄付した金を返してほしいと、静岡市葵区の男性(91)が22年前に静岡市に寄付した500万円の返還と慰謝料を求めた控訴審で、1審敗訴の男性と、市が和解することが8日、わかった。 市関係者と男性の代理人弁護士によると、17日に東京高裁で開かれる第3回和解協議で正式に和解が成立する見通しだ。「善意のお金」を巡る争いにようやく終止符が打たれる。 今年4月の静岡地裁判決は「寄付金は駿府城公園の整備のためで、再建に限定したものではない」とする市側の主張を全面的に認め、請求を棄却した。これに対し、男性は当時の天野進吾市長に「天守閣再建の一部に使ってほしい」と小切手を直接手渡し、市長は「寄付が再建のためだ」と理解していたと訴えて4月に控訴していた。 ◆落としどころ その後の協議で、両者は「裁判をこれ以上長引かせたくはない」と、男性が返還請求の放棄に応じることを軸に和解の道