裸体がどんなものかなんて、分かりきっていること。毎日自分の裸体を見ているから。腕はここにあって、おなかはここ、太もも、膝、ふくらはぎ、足首…簡単でしょ? それなのに、フランス人アーティストのアーサー・カドレの写真をじっと見ていると、関節や手足、皮膚のしわが一体となって塊になった裸体が別世界のもののように思える。 カドレはダンサーでハンドバランスを得意とする曲芸師、そして写真家だ(いびつな形に体を捻じ曲げていないときは、建築家でもある)。9歳の時に初めてブレイクダンスを披露して以来、カドレは世界中のブレイクダンスコンテストに参加した。独学でダンスを学んだカドレは、パルクール、バレエ、サーカスの動きを自身のダンスに取り入れ、独特のスタイルを確立した。 カドレの裸体が世界の自然の中でさまざまな形に折り曲げられ、引き伸ばされる姿を見ていると、まるで彼がエイリアンとして襲来したように見えてくる。