私はいつも、こんなふうに思っているのです。「ああ、わが社のお客様の3割が、いや、2割でもいい、『武蔵野では林檎は販売してくれないの?』とおっしゃってはくださらないものだろうか」「そうすれば私は即座に、青森や長野の林檎農家との契約に走るのになあ」。私は本気です。だからといって、小山が乱心したとはどうか思わないでください。私は正気です。 だって、考えてもごらんなさい。2割ものお客様が「林檎を売れ」とおっしゃるのですよ。ということは、「仰せのとおり、林檎をお持ちいたしました、青森県産『王林』、最高品質のものでございます」とかなんとかいって恭しく差し出せば、その2割のお客様は必ずお買い上げくださる。こんなに素晴らしいことはありません。なにしろわが社は、ひとつ194円の台所用スポンジを売るのですら筆舌に尽くしがたい苦労をしているのですからね。 私が社長を務めている株式会社武蔵野は、ダスキンの代理店業