遠藤周作の「おバカさん」 を読んで、その聖性のようなものに思いを致すときに、 さらに思い出されるものがありました。 それは、「ユロージヴィ」というロシア語なのですね。 昨年の2月頃にNHKの「知る楽」で放送された「悲劇のロシア」 の中で、 外語大学長の亀山先生がこんなことを言っています。 (ドストエフスキー「罪と罰」の)リザヴェータは「神がかり」(従来「聖痴愚」等と呼ばれてきたのを、私はこう訳した)であった。「神がかり」とは、社会のルールや通念にとらわれず、ときおり常軌を逸した言動を示し、ロシアの民衆から「神に近い者」として深く敬われてきた存在である。 亀山先生が「神がかり」と訳したロシア語の「ユロージヴィ」は、 引用にもある「聖痴愚」や「聖愚者」と言われたり、ロシア正教会では「佯狂者」とされたり、 また「瘋癲行者」などと言われることもあるようです。 意味するところを、も少し「ロシア精神史