開幕まで約2カ月と迫った東京オリンピック・パラリンピック——。はたして日本はIOCの判断に身を委ねていいのか。公衆衛生の第一人者で現在相馬市新型コロナウイルスワクチン接種メディカルセンター長の渋谷健司氏は、「ワクチン接種も今のペースでは、到底間に合わない。逼迫している医療体制は、これ以上の感染拡大に対応することは難しい。五輪は中止すべきだ」と断言する。必読の緊急寄稿。(前後編の後編) ◆ コロナで一気に噴出した医療界「積年の矛盾」 筆者が2017~19年に厚労省に設置された「医師の働き方改革に関する検討会」の副座長を務めたときに、特に、大学病院や急性期病院で働く医師の想像を絶する過酷な労働環境をなんとか変えようと多くの方々と努力を続けた。当時の日本医師会、各種団体、そして、厚労省も前向きに全力で頑張ってくれた。 働き方改革の機運も高まり、地域における病院機能の「選択と集中」による非効率性の