法の一分野である「憲法学」とはどのような学問なのだろうか?──そこで今回は、フランス憲法学を礎に、憲法から統治機構のあり方を考えるというテーマで研究を続ける、一橋大学法学研究科 只野雅人教授にお話をお伺いした。折しも議論の生じている憲法改正は、憲法学の立場からどのように見ることができるのか。東京・国立にある研究室を訪ねた。 憲法は他の法分野と比べても、条文そのものが簡潔です。他の法律との関係もあるし、テキストだけ見ていてもうまく実質がつかめない面があって、いろいろなところから補助線をおろしてくる必要があると思うんですね。たとえば人権の問題を研究している場合には政治哲学の議論を踏まえて一般的な理論を作り、それに基づいて条文を解釈したり、あるいは判例分析を通じて理論を作り上げるといったように、いろんなアプローチのしかたがある。そしてそれこそが、憲法学のおもしろさだと思います。 私の場合は憲法が