季節柄、大掃除をうちでも始めた。 すると押入れの奥から見覚えのない箱があって、開けてみた。 中身は、着物だった。 おばあちゃんに聞くと代々受け継いできたものだそうで、でもそうとは思えないほど状態は綺麗で、一目で大事に扱ってきたのが分かった。 着てみる?ときかれて、戸惑ったけれど着てみることにした。 おばあちゃんは慣れているみたいに着付けも見事で、着物を着ると鏡の前に立った。 なんだか自分が自分じゃないみたい、とは言い過ぎだけど、それでも代々受け継がれてきた着物を今自分が着ているんだと思うと感慨深いものがあった。 ちょうどそこで一息入れようということになって、着物を着たままの姿でお茶をすることにしたんだ。 でもそこでコーヒーをこぼした。 うっかり手が滑って、自分のコーヒーカップが手から落ちた。 着物にコーヒーが酷く染込んでしまって、本当にどうしようと思って、そのときにおばあちゃんが声をかけて
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