経営不振に陥っている「シャープ」が台湾の大手電子機器メーカー「ホンハイ精密工業」の傘下で再建を目指すことになりそうだ。一方、不正会計問題で揺れる東芝は、2016年3月期連結決算の純損益で、赤字額が7100億円に拡大する見通しだ。 シャープ、東芝はともに日本を代表する電機メーカーである。その2社が、ここまで転落してしまったのは、なぜなのか。 いろいろな理由があるのだろう。だが、ひとつはっきりといえることがある。どちらも大企業になってしまった。「守り」に入ってしまったのだ。 僕は、多くの経営者に取材してきた。パナソニックの松下幸之助、ホンダの本田宗一郎、ソニーの盛田昭夫、京セラの稲盛和夫……。みな創業者であった。彼らはゼロからスタートしたし、当時の日本もゼロからのスタートだったのだ。失うものはなかった。だから「攻めの経営」になった。 以前、松下幸之助さんを取材した際、僕は「部下を役員などに抜擢