日本ではまだカラーフィルムが普及していなかった昭和30年代、鉄道を中心とした日本の風景を鮮明なカラー写真で記録し続けていた米国人がいた。日本の鉄道に魅了されて全国を訪ね歩いた米国人撮り鉄が写した約400枚の写真を収録した「秘蔵カラー写真で味わう60年前の東京・日本」(光文社新書・1500円+税)は、普通なら白黒でしか見られない当時の日常風景を生々しくよみがえらせる。 鮮明なコダクローム著者のJ・ウォーリー・ヒギンズさんは1927年、米国ニュージャージー州生まれ。ミシガン大学で修士課程修了後、昭和31年に米軍軍属として初来日。1年間の在勤中に列車旅行を重ねたウォーリーさんはすっかり日本鉄道のファンとなり、いったん帰国した後、33年に在日米空軍の軍属として念願の再来日を果たす。35年には日本人女性と結婚し、日本に在住して鉄道写真を撮り続けた。その後、趣味が高じて国鉄の顧問となり、現在はJR東日