それは、明らかにつじつまの合わない記録でした。 患者本人が解剖を承諾したのは、「死んだあと」だったというのです。 過去に繰り返されてきた、ハンセン病患者の遺体の解剖。 その承諾を得たとされる文書がねつ造されていた可能性が、ある療養所の調査で見えてきました。 (NHK松山放送局 清水瑶平) 自殺の7日前に“解剖を承諾” ハンセン病は「らい菌」によって皮膚や神経が冒される感染症です。 治療法がなかった時代には「不治の病」として恐れられ、国はかつて、患者たちを療養所に強制的に収容するという、誤った隔離政策を取り続けていました。 そして各地の療養所では「治療や医学の発展に役立てるため」などとして、亡くなった患者たちの解剖が行われていたことがわかっています。 政石コメさん 私が「解剖の記録」に疑問を持ったのは、あるハンセン病患者についての取材がきっかけでした。愛媛県松野町出身の、政石コメさん。 昭和