普段は四足歩行のニホンザルにゴーグルを着用させて視野を狭めたり、非常に濃いサングラスを掛けた状態にしたりすると、壁や障害物にぶつからないよう、後ろ脚で立って手探りをしながら歩くことが分かった。産業技術総合研究所認知行動科学研究グループの間中ゆうこ技術員と杉田陽一グループ長が22日までに実験で確認した。論文は国際科学誌ビヘイビアラル・プロセスズ電子版に掲載される。 猿回しなどで二足歩行の訓練をしていない猿でも、餌の果実を仲間に奪われないよう両手で持って逃げたり、母が子を抱いて移動したりする際に立って歩くことがあるが、手探りするために二足歩行することが実験で確認されたのは初めて。杉田さんは「猿から人への進化過程で二足歩行するようになった理由はたくさん考えられるが、密林や洞穴など暗い場所で立って手探りすることで移動範囲が拡大したのは確か。二足歩行を定着させた要因の一つではないか」と話している。