米国を中心に世界では、「老いなき体」を手に入れようとする老化研究ビジネスが進みつつある。その動きを見据え、国や分野を超えた研究者のネットワークを構築しながら、「若返り」を目指した先進的な研究と社会実装化を進めているのが慶應義塾大学医学部精神・神経学教室特任講師の早野元詞氏だ。世界的なベストセラー『LIFESPAN老いなき世界』の著者、米ハーバード大医学大学院のデビッド・シンクレア教授の研究室で、老化モデルマウス「ICE(アイス)マウス」を開発した経歴を持つ。現在進めている若返り研究の成果と社会実装化の構想について、早野氏に聞いた。 サルコペニアなど老化によって進む病気の治療を若返りの突破口に 早野氏がICEマウスを開発する過程で明らかにしたのは、遺伝子のDNAの特定の部分に傷がつくと、細胞がそれを「エピゲノム」という形で記憶し、スイッチが入ったように老化が加速することだ。例えば、若い頃に日