労働契約法改正は科学者コミュニティにどのような影響をあたえるか 2012年8月に労働契約法が改正され、2013年4月から施行された[i]。法改正で最も重要な点は、有期労働契約が5年繰り返され、通算5年を超えた場合、労働者の申し込みにより期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるというものである(第十八条)。これがいわゆる「5年ルール」と呼ばれるものだ。この改正をめぐって、研究現場が混乱している。ここで簡単ではあるが、現状をまとめてみたい。 なお、私は法律の知識が乏しいので、間違い等あればご指摘いただきたい。 1)法改正に対する政府の対応 現在かなりの割合の研究者が、有期労働契約で働いている。ポスト・ドクトラル・フェロー(ポスドク)は言うまでもなく、任期のついた大学教員や研究所の職に就いている者も多い。また、研究支援者(テクニシャン、研究室秘書など)も多くが有期労働契約で働いている