「ポスティングが一役買ったとなれば業界を盛り上げられるかもしれない」。そんな思いで関わった愛知県知事に対するリコール(解職請求)運動だったが、気付けば犯罪に加担し、後に引けなくなっていた。名古屋地裁で12日、有罪判決を受けた広告関連会社前社長、山口彬被告(39)は判決前、毎日新聞の取材に応じ、「今思えば、偽造を止められるタイミングは何度もあった。多くの人に迷惑をかけて本当に申し訳ないことをした」と後悔を口にした。 「仕事が欲しければプッシュするよ」 きっかけは2020年6月、たまたま目にしたツイッターの投稿だった。愛知県の大村秀章知事へのリコール運動を成功させるためにポスティングの活用を呼びかける声が上がっていた。自身の会社が主力としていたポスティング事業は当時、新型コロナウイルスの感染拡大により、売り上げが激減。スタッフの生活を守るため、仕事がない中、給与を払っている状況で「タダでもいい
オンライン上の「セカンドレイプ」に、司法が「ノー」を突きつけた。ジャーナリストの伊藤詩織氏(32)が、自身の性暴力被害を巡り、ツイッターで虚偽の情報を投稿され名誉を傷つけられたなどとして、漫画家のはすみとしこ氏らに慰謝料などを求めた訴訟で、東京地裁(小田正二裁判長)は30日、はすみ氏らの名誉毀損(きそん)を認める判決を言い渡した。性暴力被害を告発した人が攻撃され2次被害を受ける「セカンドレイプ」は深刻で、専門家らは「今回の判決を、セカンドレイプについて社会が議論する契機に」と訴える。判決の意義とリツイートの法的責任を巡る司法判断を詳報する。【塩田彩、宇多川はるか/デジタル報道センター】 「この判決は、どんな金額であってもどんな言葉であっても、一つの大きな一歩だと考えています」。30日の判決言い渡し後、東京都内で記者会見を開いた伊藤氏は涙ぐみながら語った。 伊藤氏は2020年6月、はすみ氏に
時代の流れや社会の変化は止めがたいし、それが世の中の「進歩」「革新」の根底にもなるので、否定するものではないのだが、たまに「これでいいのだろうか」と感じることもある。 これも以前、別の場所で書いたことがあるのだが、もう10年ほど前、親戚が集まってちょっとした会食をした際の話だ。当時、19歳の息子と13歳の娘を伴い、一家で出席した。 円テーブルに各家族が座り、ビールやコーラ、オレンジジュース、ウーロン茶といったアルコールやソフトドリンクの瓶が並べられた。おのおの好みの飲み物を取って、談笑しながら飲み始めた。 と、子供たちの様子がおかしい。栓抜きを眺めている。早く瓶の王冠を抜いて、好きな飲み物を飲めばいいのに。2人は、栓抜きを手に取って、瓶入りのコーラを開けようとし始めた。が、「これ、どう使うのか分からない」と息子。娘も「私も分からない」。王冠にあてがいながら、どのように使うのか錯誤している。
誤ったメッセージを送った職域接種 新型コロナウイルスの新規感染者数が減少傾向を示し、10月1日には緊急事態宣言が解除された。 これは新型コロナウイルスの2回のワクチン接種を終えた人の割合が全人口の約6割に達したことが大きな要因の一つと言えよう。 ワクチン接種は重症化予防につながり、死者数も抑えることができる。菅政権がワクチン接種を積極的に進めてきたことは一定の評価ができる。 しかし、政府はワクチン接種ばかりを一気に進めたため、「とにかくワクチンを打てばいい」という誤ったメッセージを国民に送ってしまったのではないか。特に職域接種は、ワクチンの目的を失わせ、深刻な国民、または社会の分断を招いた。今後のために、ワクチン接種の進め方を検証する必要があるだろう。 ワクチンの本来の目的は重症化を防ぐことだ。ワクチンを打っても感染を完全に防げるわけではない。インフルエンザワクチンを接種しても罹患(りかん
取材に応じる「なまぽちゃん」=2021年8月6日午後3時6分、山下智恵撮影(画像の一部を加工しています) <お金に困って風俗やるしかないかもと思ってる女の子みんな生活保護受給すること>。生活保護を受給する女性がツイッターとブログで、こう呼びかけていた。SNS(ネット交流サービス)上で「なまぽちゃん」と名乗る女性は借金が返済できなくなって風俗業界に入り、その後、新型コロナウイルス禍や抑うつ症状などの困難を経て生活保護にたどり着いたという。「風俗はセーフティーネットじゃない。当たり前に生活保護を受給してほしい」。生活保護バッシングが吹き荒れるSNSの世界から、なまぽちゃんが伝えようとしていることを聞いた。【山下智恵/デジタル報道センター】 「メンタリスト」という肩書で活動するDaiGo氏が、動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」でホームレスや生活保護受給者を差別する発言をし、SNS上
県の「ネット・ゲーム依存症対策条例」は根拠がなく、人権を侵害し憲法違反だとして、高松市出身の男子大学生(18)と母親が県に計160万円の損害賠償を求めた訴訟の第3回口頭弁論が14日、高松地裁(天野智子裁判長)であった。県側はネット・ゲーム依存症の予防の必要性を指摘するなど、原告側の主張に全面的に反論した。 原告側は「ネット・ゲーム依存症という病気は存在しない」として、18歳未満のゲーム時間を1日60分までと定めた条例の科学的な根拠を否定。これに対し、県側は準備書面で、アルコールやギャンブル依存症などと同じように「明確な定義づけは医療の現場でもいまだなされていない」とした上で、「複数の医師らがネット・ゲーム依存症は予防が重要としており、専門治療施設もある」と指摘。病気かどうかにかかわらず、過度のゲー…
愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動を巡る署名偽造事件は、署名活動団体の事務局幹部ら4人が地方自治法違反容疑で逮捕される事態に発展した。大量の署名偽造はなぜ起きたのか。住民の政治参加を保障するリコール制度の信頼を揺るがした事件の背景について3回に分けて報告する。 「税金を何だと思っているのだ! トリエンナーレ、あっちこっちに電凸(電話攻撃)したので報告」 2019年8月、美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長がツイッターに投稿すると、瞬く間に同調するコメントが集まった。「高須先生の力で大村知事に天罰を与えてください」「大村には知事を辞めていただきたい」――。賛同を示す「いいね」は1万7000件に上った。 愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動は、同月開幕した国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」で、昭和天皇の写真を燃やす場面がある作品などが展示されたことを発端に始まった。
自民党の林幹雄幹事長代理は18日、2019年参院選の広島選挙区を巡る大規模買収事件で、公職選挙法違反に問われた河井克行元法相らが代表を務める政党支部に党本部が支給した資金1億5000万円に関して「いろいろ(二階俊博)幹事長も発言しているんだから根掘り葉掘り、あまり党の内部のことまで踏み込まないでもらいたい」と記者団をけん制した。党本部で行われた二階氏の記者会見に同席し、二階氏への質疑に割って入る形で発言した。 二階氏は17日の会見では「支出された当時、私は関係していない」と党からの資金提供への関与を否定した。林氏も「(二階氏が)幹事長をしていたのは事実だが、当時の(甘利明)選対委員長が広島を担当しており、細かいことは分からないということだ」と説明していた。
25日の投開票日まで1週間となった名古屋市長選は18日、「選挙サンデー」を迎えた。各候補者は市内各地で有権者に公約のアピールを繰り広げ、事実上の一騎打ちを展開している4期目を目指す現職の河村たかし氏(72)と、元市議長で新人の横井利明氏(59)は、相手候補への批判をより強めた。【岡正勝、高井瞳】 河村陣営「日本一給料の安い市…
愛知県の大村秀章知事に対するリコール(解職請求)署名不正事件は、無残な格好の悪さをさらしている。署名活動で不正を行うという、民主主義そのものに対するイメージダウンに、まれに見る「貢献」をした。 紛れもないこの運動の中心人物の一人、河村たかし名古屋市長は、今後の身の振り方について、「今出馬を断念したら、不正署名運動に関与したと認めることになるから」という理由で来期に向けて市長選に出馬する意向だと一部で報じられた。しかし、「自分は関与していない」という、保身の状況証拠づくりのために再出馬するのは、政治のあからさまな私物化ではにゃあか。おりしも市民団体が、河村市長に対して政治的及び道義的責任を問い、辞任を求める決議を出した。 河村市長は、あれほど率先して運動を引っ張ってきたにもかかわらず、「私は中心人物ではない」と距離感のある言い訳をしている。「愛知100万人リコールの会」のチラシに会長の高須克
大阪府の新型コロナウイルス対策本部会議で、専門家らに感染状況を質問する吉村洋文知事=大阪府庁で2021年2月9日、山崎一輝撮影 緊急事態宣言の解除要請を巡り、大阪府の吉村洋文知事の主導で策定された独自基準が暗礁に乗り上げている。新型コロナウイルス感染者の減少で8日に基準を満たしたが、医療体制の切迫や基準の緩さを懸念する専門家から要請の時期尚早論が噴出し、見送りを余儀なくされた。府庁内部からも「迷走している」と冷ややかな声が上がる。 「解除を急いでいるわけではない。病床使用率が安定的に減少するのを確認した上で判断するのが適切だと思った」。9日の対策本部会議後、吉村氏は解除要請を見送った理由を記者団にこう説明した。 会議では、メンバーを務める専門家らが医療現場の窮状を訴え、「宣言解除で感染が再拡大すれば医療は持たない」と懸念を表明。りんくう総合医療センターの倭(やまと)正也・感染症センター長は
2020年2月、東京オリンピック・パラリンピックの選手村村長の就任記者会見を終えて記念写真に納まる川淵三郎氏(右)と森喜朗氏=東京都中央区で、円谷美晶撮影 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)は11日、女性を蔑視する発言をした責任を取り、会長を辞任する意向を周囲に伝えた。複数の関係者が明らかにした。組織委が12日に開く緊急会合で表明する見通し。後任は元日本サッカー協会会長で組織委の評議員を務める川淵三郎氏(84)で調整している。2人は東京都内で会談し、森氏の就任要請に川淵氏は会長職を受ける意向を示したという。 森会長が辞意を固めたのは、今夏の大会準備に直接的な影響が出てきたからだ。新型コロナウイルスの感染拡大で、大会はただでさえ開催が危ぶまれている。川淵氏は、森氏から「自分は辞めて新しい人に代わってもらって、国民的行事を何とか成功させたい」と後任を託されたと明かし
NRA本部ビル前で銃規制を訴えるデモ参加者たち=米南部バージニア州フェアファックスで2019年9月、高本耕太撮影 銃所持の権利を主張し、米国内最強の利益団体として知られる全米ライフル協会(NRA)は15日、日本の民事再生法に相当する連邦破産法第11条の適用を申請したと発表した。NRA敵視政策を取る東部ニューヨーク州から拠点を移し、保守派の多い南部テキサス州で組織を立て直すための措置で「今後の発展と成長につながる戦略的な判断」と説明している。 NRAは1871年創設。会員数は公称550万人超を誇る。武器保有の権利を認めた憲法修正2条の堅持を最大の活動目標に据え、巨額献金で政界への影響力を行使してきた。1980年以降の大統領選では毎回、…
新型コロナウイルス感染症の対策強化に向け、政府が月内に通常国会に提出する感染症法改正案の原案が判明した。軽症・無症状者で自治体による宿泊・自宅療養の要請に応じない人に、都道府県知事が入院を勧告できるようにする。入院の勧告や、強制入院させる措置にも従わない場合は罰金を科す。罰金は「100万円以下」とする案を軸に検討している。陽性者が無断で出歩き感染を広げかねないケースが出ているため、強制力を担保して療養を徹底したい考えだ。 新型コロナ患者の病床の逼迫(ひっぱく)を受け、厚生労働省は高齢者や基礎疾患がある人を除き、軽症・無症状者は入院ではなく自治体が用意した宿泊施設か自宅での療養を求めている。現行の感染症法は、入院の勧告・措置に従わない場合の罰則はなく、宿泊・自宅療養については法律上の根拠もない。
漫画や書籍などを無断でインターネットに掲載する違法な海賊版サイト対策として、総務省は25日、スマートフォンなどの端末に、サイトへの接続制限機能の搭載を目指すと発表した。ウイルス感染を防ぐセキュリティー対策ソフトに海賊版へのアクセス抑止機能を加え、閲覧しにくくする仕組み。近くサービスが始まる見通しだ。 出版業界は海賊版サイトのリストを作っている。これをセキュリティー対策事業者に提供して「フィルタリング」という機能に取り込んでもらい、利用者が該当するサイトに接続しようとすると通信を遮断したり警告を出したりする。標準搭載を目指すが、利用者の選択を尊重し、解除も可能となる方向だ。 この記事は有料記事です。 残り212文字(全文502文字)
米大統領選に関し、「米大手放送局のCNNがトランプ氏が勝ってしまうと放送をした」という情報が、日本語版のツイッターで拡散されている。だが、言及されている番組は9月末のもので、ジャーナリストが「トランプ氏が一般有権者の投票で敗れた場合でも、状況により連邦議会で再選される可能性がある」などと指摘しただけで、バイデン氏が11月に当選確実となった後に「トランプ氏勝利の見通し」と見方を変えて報じたわけではない。ツイッター上の情報は最近の報道のように扱っており、不正確だ。【和田浩明/統合デジタル取材センター】 CNNが「パニック放送?」 問題の情報は、米国の保守系のジャーナリストやメディアが米国時間11月27日夜(日本時間28日午前)ごろに英語で紹介した内容を、まとめサイト「トータルニュースワールド」などが日本時間28日に日本語で掲載した。その見出しは「CNNが2020年大統領選挙にトランプが勝ってし
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