超大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の国内候補地を1カ所に絞る研究者グループの作業が大詰めを迎えている。近く結論をまとめ、日本政府に誘致に乗り出すように働き掛ける考えだが、国がどう判断するかは不透明な部分が大きい。国が意見を求めた日本学術会議の審議では、巨額の建設費などへの懸念が出ており、研究者と学術会議、政府という三重構造が誘致活動の行方を分かりにくくしている。 <「慎重に検討」> 候補地の一本化作業をしているのは国内研究者8人でつくる「立地評価会議」。国内誘致を進めている研究者組織のILC戦略会議が設けた。岩手、宮城両県にまたがる北上山地と、福岡、佐賀両県の脊振山地の2カ所について、地盤の固さや地質の形状、周辺の社会インフラなどを比較している。 関係者によると、選定作業はほぼ終了しているが「時期や方法を慎重に検討する必要がある」と、7月の予定だった発表を先送りしている。