1年を振り返ってみると、このコラムも作風が少し変わったように思う。当初は、いろいろな話題を取り混ぜて書いていたが、財政運営を批判することが増えた。一番の要因は、震災に際して、稚拙さに我慢できなくなったことだ。筆者も、東北には特別の思いがある。何とかしたいという思いが、そうさせたのだ。 筆者は近代史が好きで、「あの時、別の選択はなかったのか」と考えたりするのだが、時代状況を踏まえると、後世の人が「なんで、あんなバカなことを」というような選択も、なかなか他には取り得えなかったのだろうと思うことが多い。満州より英米貿易に利があったとしても、英霊の血で贖った土地を手放すことはできなかったのだ。 今の日本は、「財政再建病」に取り憑かれている。2010年度は、財政破綻への不安から、14兆円もの度外れた緊縮財政を試み、後半に成長を失速させた。その後、日本は、震災で生産と輸出に大打撃を受け、救助と復旧に巨