”理想論を掲げ、狭量できれいごとしか言わない”と一般的には見られがちな左翼とその活動。だが、歴史やアカデミズムの観点から見ても、本来の左翼は非常に多様だという。近年の薄っぺらな左派ブームに惑わされない”懐の深い左翼本”について、「ナショナリストな左翼」を公言する哲学者・萱野稔人に話を聞いた。 ──プロレタリア文学の代表作『蟹工船』の映画化や共産党員数の増加など、不透明な社会情勢の影響からか、左翼に注目が集まっているようです。 【萱野】僕が学生だった1980年代から90年代にかけては、社会の中に左翼アレルギーが根強くありました。これに対して現在は共産党の新規入党者も多く、ある意味では左翼ブームといえるのかもしれない。その背景には、格差や貧困が広がっているという現実もあるでしょう。他方で、現在の左翼運動にはマイノリティが集まる。つまり、ほかの場では存在を否定されてしまったような人たちが、優しく
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