スティーグ・ラーソンのミレニアム三部作は、多くのプロの書評家が絶賛し、web上で見かけるアマチュアのレビューも大半が肯定的だ。 このブログでも状況は同じである。北上次郎氏いわく、今年の翻訳ミステリは、スティーグ・ラーソンのミレニアム三部作で決まりらしい。「2009年、私のベスト10暫定版」で登場した評論家9名中、実に6名がこの三部作の名前を挙げたのだ(しかも小山正氏も、実質的にはミレニアム三部作を年間ベストと断じている)。 『ミステリが読みたい! 2010年版』では総合1位、『文春ミステリ・ベスト』でも見事1位を獲得。この分では『このミステリーがすごい! 2010年版』で高順位に付けるのもほぼ確実である。翻訳ミステリー大賞の一次投票でも、確実に名前が挙がるだろう。 しかし本当にそこまで素晴らしい作品だろうか? 個人的には重大な疑問が二点ある。一つは構成上の問題、もう一つはキャラクター造形で