NHK記者が大相撲の野球賭博問題の捜査にかかわる情報を、捜査対象の親方に伝えていた。しかも、法令順守の確立を強く求めて本場所の中継中止を決めたその夜に。報道の原則を大きく踏み外した不祥事に、NHK内部にも衝撃が広がった。 ◇ 問題の7月6日午後。NHKの福地茂雄会長は理事らを集め、史上初の大相撲中継見送りの決断を伝えた。力士暴行死事件や大麻事件、野球賭博問題と不祥事が繰り返された日本相撲協会に、コンプライアンス(法令順守)の確立を強く求めての重い決断だった。 午後4時半からの記者会見で福地会長は言った。 「相撲協会が100年に1度の危機という緊張感をもって改革に取り組むことを、強く要望いたします」 午後9時前には自ら総合テレビに出演し、視聴者に向けて経緯を説明した。問題のメールが送られたのは、組織のトップがコンプライアンスを強調したその3時間後だ。 「明日、捜索が入る