どうやらいま、学問の世界の住人のなかでは、大きな革命が進みつつあるようだ。とてもゆっくり、とても静かに、かもしれないけど。 というのも、ヨーロッパで 500 年以上まえに始まった「近代」という社会のあり方を、根本的に問い直す議論をよく目にするからだ。 それは、戦前にあったような、西洋にない「日本的なもの」をさがす議論でもないし、西洋に対してアジアが対抗するという図式でもない。また、資本主義に的を絞って反旗をひるがえすという種類の議論でもないのだ。 ここでいう「近代」とは… ホッブズ、ロック、ルソー、スミス、マルクスらに語られ、 新大陸「発見」、名誉革命、合衆国建国、人権宣言を経て、 英、米、仏、独など欧米で育った、 政治思想と、それに付随した世界観である。 日本も明治以来、それをあわてて吸収したし、戦後はアメリカによる占領政策のもとで、急速に取り入れられた。 そんなわけで、いまもわたしたち