地域に根ざした「街の本屋」を、新たな形で再興させようという試みが、京都と東京で始まった。出版不況や書店の大型化、ネット書店の隆盛などで小規模書店の経営は厳しいが、どちらのチャレンジも、街の本屋の「場」としての可能性を信じた取り組みだ。 京都 貸本も営業「地域の核」 京都府城陽市。京都市と奈良市のほぼ中間に位置する人口8万人弱の都市に、東京・自由が丘に本社を置く社員7人の出版社「ミシマ社」がオフィスを構えたのは昨春のこと。今年1月からは、1室を「ミシマ社の本屋さん」として開放、同社の本や全国の小規模出版社の本などを並べ、販売する。 そもそも同社が城陽にもオフィスを開いたのは、昨年3月の東日本大震災がきっかけだった。本社は築50年の一軒家。余震が続き、落ち着いて仕事ができずにいたが、震災3日後の14日、代表で京都出身の三島邦弘さん(37)は、親戚との電話で、城陽に空き家があると聞くと、社員にこ