「日立の頑張りはよく分かった。ただ、これで営業利益率はどこまで上げられるのか」 英語による鋭いコメントが、日立製作所の最高意思決定機関である取締役会の空気を一変させた。その声の主は、社外取締役のジョージ・バックリーだった。 この日は、日立社長、中西宏明(当時。現会長兼CEO)の肝いりプロジェクトの成果を取締役に向けて発表する晴れの舞台だった。それは、約950社ある日立グループで、全社横断で導入してきたコスト構造改革、スマート・トランスフォーメーション・プロジェクト(スマトラ)だ。 2011年後半から取り組んだ結果、まとまった改善成果が出てきたこともあり、取締役会でお披露目することになったのだ。 ところが、世界有数のコングロマリット企業である米3Mの前CEO、バックリーはスマトラ単独の成果よりも、それによる利益率の改善効果にこだわった。利益率2桁が当然のグローバル企業に対して、日立の5%前後
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