橋本治の「ぼくたちの近代史」(河出文庫 1992年 単行本 主婦の友社 1988年)は1987年におこなわれた講演を本にしたもの。3部にわかれ、全6時間というとんでもない講演で、その第一部はほとんど全共闘問題だけが論じられている。いままでいくつか読んだ全共闘運動について書かれた文章の中で、わたくしには一番しっくりくる説得的なものである。それは、橋本氏が、例の「とめてくれるなおっかさん・・・」で有名になった人であっても、その時期、全共闘運動のそとの「一般学生」として過ごした人間であり、わたくしもまた「一般学生」として過ごしたからなのかもしれない。 さて、橋本氏によれば、全共闘のことは、みんな知っているけれども、同時に、実はみんな知らない。当事者さえも知らない。「結局あれは、なんだったんでしょうね」とかいっているのだそうである。それで、橋本氏によれば、 あれは「大人は判ってくれない」ですよね。