Home > Library > Words 2007/06/18 ロレンス・ダレル 「まず若者が、葡萄の蔓のように、年長者の朽ちかけた支柱をよじ登る。年長者は若者のしなやかで柔らかな指を体に感じる。それから、若者の美しい体を支えにして、自分にふさわしい死へ伝い降りる。」(『アレクサンドリア四重奏Ⅱ』より、バルタザールの言葉) 子どもが大きくなり、独り立ちをするときが来ると、自分に触れていた指が離れるのをさみしく感じる。しかし、それもわずかな間だ。やがて、若者の体を伝いながら、老人は自分の死へと降りてゆくのだろう。ギリシア語で語るに相応しいエロースに溢れた思考。 2007/02/07 サン=ヴィクトルのフーゴー 「故郷が甘美だと思う者は、まだぜい弱な者に過ぎない。どこへ行っても故郷と同じだと思う者は、すでに力強い人である。しかし全世界が流謫の地だと思う者こそ、完全な人である。第一の人は世界