小学生のころ、「まんがはじめて物語」というテレビ番組をよく見ていた。 モグタンというキャラクターとお姉さんとが、タイムスリップをして、身近な物事の起源や歴史を物語風に解説してゆく。実写とアニメを両用していたのが特徴的だった。 昨年、『生物と無生物のあいだ』でベストセラーをかっ飛ばした福岡伸一の新著『できそこないの男たち』は、どこか「まんがはじめて物語」と似ている。というのも、生物学的な男の作られ方を解き明かす本書もまた読者を次々と「はじめて」の場所へと連れていってくれるからだ。 本書はまず、1988年のコロラド州カッパーマウンテンで開催された、アメリカ実験生物学連合会(FASEB)の研究会の1シーンから幕を開ける。上司が主催者だったおかげで、福岡伸一もその場所に同席する幸運に恵まれた。 〈司会者が次の演者の発表をアナウンスすると会場は水を打ったように静かになった。私は発表者がどこから現われ
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