『ぼくらの』という作品がなぜ倫理的なのかということを説明するためには、まず、鬼頭莫宏によるマンガ版の『ぼくらの』と現在放送中のアニメ版の『ぼくらの』との差異を明確にすべきだろう。 アニメの『ぼくらの』は、ネットで一時期話題になったように、監督自身が原作のマンガとは別の方向性を打ち出すことを明確に表明していて、かつ、原作のマンガがまだ終わっていない以上、どこかで独自の結末をつけざるをえない状態になっている。アニメは、現在放送中なので、最終的にどのような結末を描き出すのか(どのような結論を提出するのか)はまだ分からないわけだが、現在までのところで、この作品が原作のマンガとどのような点で異なっているのかということについては、かなり明確に、描き出すことができるように思える。 もちろん、アニメとマンガとの相違点は非常にたくさんある。しかし、根本的な違いはどこにあるのかと考えてみれば、それは、まさに、