ときどき酔っぱらった人を診察する。様子がよく分からなくて怖いから、 「朝まで様子見ませんか?」なんて水向けるんだけれど、「俺は大丈夫だ」とか 宣言して、たいていお金踏み倒して帰る。それでも無事ならばいいんだけれど、 日本のどこか別の場所では、「大丈夫」で帰って亡くなってたりするから、 朝まで怖かったりする。 「おまえは冷たい」だとか、同じく酔った友達の人になじられる。 診るほうだって殴られたりするから、「帰る」という人を無理には止められないし、 帰るなら帰るで、同意書みたいなもの書いてもらわないと、身を守れない。 そういう態度は、たしかに何だか官僚的で、「冷たい」ものに見えるのかもしれない。 冷たくしてるというよりも、むしろ恐怖に震えてるんだけれど。 医療過誤保険のこと アメリカの医療費は高い。医師の報酬もまた高い。医療過誤に対する保険料はもっと高い。 アメリカの救急医は訴訟が多くて、賠償