死後、見つかった手帳には、死への不安や心の整え方がつづられていた――。2017年8月に54歳で亡くなった一人の女性を支えていた妹や仕事仲間が、当時の様子を語ってくれました。医療費や生活費といった家計の不安から一時期トリプルワークも。単身者のがん患者を取り巻く厳しい療養環境も浮かび上がってきました。「おひとりさま」と言われる単身者の知人に、がんが見つかり、予後が厳しいとなったら、みなさんはどうしますか?(朝日新聞記者・岩崎賢一) 【画像】「どう生きるかということは、どう死ぬかということ」…… 遺品の手帳に残された数々の言葉 「死、というものがたしかに在ること。それをしっかり感じながら生きる、ということはなんと豊かな時間であることだろう」――2011年10月16日、浦野さんの手帳から これは、浦野芳子さんが生前記していた手帳の1ページです。乳がんと肝臓などへの転移が見つかった年に書かれたもので