参院選で消費税の廃止を強く訴える「れいわ新選組」が躍進したことで、同党が掲げる経済理論MMT(現代貨幣理論)が注目を集めている。MMTは異端の経済学とされ、主流派などからは「ハイパーインフレを誘発する」など、手厳しい批判が寄せられている。 日本はドイツと同様、20世紀以降の主要国としては極めて珍しい、ハイパーインフレ(厳密には準ハイパーインフレ)を起こした前科を持つ国である。一連の歴史を紐解くことで、MMTが本当にハイパーインフレをもたらすのか、それとも杞憂に過ぎないのか、何らかのヒントが得られるはずだ。 限りなくケインズ経済学に近い MMTは、ごく簡単に説明すると、自国通貨建てであればインフレが発生するまで財政出動を行うことが可能であり、生産力の限界まで経済を拡大できるという経済理論である。 既存の経済学では、仮に自国通貨建てであったとしても、過大な政府債務は金利の上昇を招き、民間の設備