要旨 日本経済はアベノミクス始動以降、景気が好転したといわれている。しかし、その間の実質賃金は大きく低下している。アベノミクス時の回復局面では、過去2回と比べて常用雇用者数と名目賃金の増加が著しい一方で、消費者物価の上昇により実質賃金の改善が弱い。 実質賃金は従業員の景気実感を判断する指標とする向きもある。しかし、この統計の元になる名目賃金は労働時間が短く平均賃金より低い雇用者数が増加すると、既に働いている人の賃金が下がらなくても低下してしまう。このため、最低賃金や米国の単位当たり賃金データは時間当たり賃金で測られるのが一般的。 従来の一人当たり実質賃金指数では、2012年度から2021年度にかけて▲4.9%下がっている。しかし、一人当たり実質賃金指数を一人当たり平均総労働時間指数で割った時間当たり実質賃金指数を試算すると、2012年度から2021年度にかけて+2.0%も上昇している。背景
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