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ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (9)

  • 精霊による魔法と科学が融合し発展した都市カイロを舞台に、伝説の魔術師との戦いを描く四冠達成のサイエンスファンタジー──『精霊を統べる者』 - 基本読書

    精霊を統べる者 (創元海外SF叢書) 作者:P・ジェリ・クラーク東京創元社Amazonこの『精霊を統べる者』は、ネビュラ賞、ローカス賞、イグナイト賞、コンプトン・クルック賞と4冠に輝いた、アメリカの作家P・ジェリ・クラークの第一長篇&サイエンス・ファンタジーだ。物語の時代はまだ人種差別も女性差別も色濃く残る20世紀初頭。魔法と科学が融合した都市カイロを舞台に、伝説の大魔術師を名乗る何者かによって引き起こされた、魔術世界を揺るがす大事件を描き出していく。 僕はもともとこうした「科学と魔法が融合」したような世界観が大好物だから読む前からそうとうに期待していたのだけど、これが高まったハードルをやすやすと超えていくような作品だ。良い点はいくつもあるが、なんといっても舞台をジンが存在することによってヨーロッパ列強と肩を並べるに至ったという架空のエジプトに設定しているのが良い。著者は現在コネチカット大

    精霊による魔法と科学が融合し発展した都市カイロを舞台に、伝説の魔術師との戦いを描く四冠達成のサイエンスファンタジー──『精霊を統べる者』 - 基本読書
    iwiwtwy
    iwiwtwy 2024/07/01
    ユリコは、ロード・オブ・ザ・リングで言うケイト・ブランシェットのガラドリエルみたいな役柄でお願いしたい。
  • 毒はどのように人間を死に至らしめるのか?──『毒殺の化学:世界を震撼させた11の毒』 - 基本読書

    毒殺の化学:世界を震撼させた11の毒 作者:ニール ブラッドベリー青土社Amazonこの『毒殺の化学:世界を震撼させた11の毒』は、その書名の通りに人間を毒殺するために用いられた11の毒について書かれた一冊になる。毒殺では常套手段といえる青酸カリやトリカブトはもちろん、一般的には糖尿病治療で用いられるインスリンなど、それらがどのように人体を死に至らしめるのかという科学。そして、歴史を振り返ったときにその毒がどう殺人に用いられてきたのかが合わせて語られていく。 取り上げられているエピソードは単なる毒殺ではなく暗殺であったり、不特定多数に向けた無差別毒殺テロにみせかけて実は特定の狙いがいたというはた迷惑なケースであったりと、犯罪・事件的に話題性にとんだものばかりで、科学と犯罪捜査で一度で二度おいしい構成になっている。おもしろいのが、発覚したケースでないと誰にも知られぬまま忘れられていくだけだか

    毒はどのように人間を死に至らしめるのか?──『毒殺の化学:世界を震撼させた11の毒』 - 基本読書
  • 〝唯一真実の治療法〟に覚醒してしまった人たちが、反ワクチンの旗のもとに結集する、トンデモ医療アベンジャーズとでもいうべき傑作ノンフィクション──『リバタリアンとトンデモ医療が反ワクチンで手を結ぶ話』 - 基本読書

    リバタリアンとトンデモ医療が反ワクチンで手を結ぶ話:コロナ禍に向かうアメリカ、医療の自由の最果ての旅 作者:マシュー・ホンゴルツ・ヘトリング原書房Amazonこの『リバタリアンとトンデモ医療が反ワクチンで手を結ぶ話:コロナ禍に向かうアメリカ、医療の自由の最果ての旅』は、リバタリアンが集まる自由な町を作ったら、そこは整備も何も行き届かなくなり、自由を目当てにやばい奴らが集まってきたという実話を描き出す『リバタリアンが社会実験してみた町の話:自由至上主義者のユートピアは実現できたのか』の著者マシュー・ホンゴルツ・ヘトリングの最新作である。 タイトルが前作と似ているが、同じ町が舞台など、内容に直接的な繋がりがあるわけではない。ただ、自由を求める人達、自由の旗印のもとに自分たちの意見を強引に押し通そうとする人たちが社会を歪めていった過程を描くという意味では、テーマが連続している。作は、ヒーリング

    〝唯一真実の治療法〟に覚醒してしまった人たちが、反ワクチンの旗のもとに結集する、トンデモ医療アベンジャーズとでもいうべき傑作ノンフィクション──『リバタリアンとトンデモ医療が反ワクチンで手を結ぶ話』 - 基本読書
    iwiwtwy
    iwiwtwy 2023/08/21
    自由の国だなぁ。正しいとか正しくないとかどうでもいいけど。
  • ヒューゴー&ローカス賞受賞の、対話が可能なのかすらもわからぬ相手との決死の外交を描く宇宙・ファーストコンタクトSF──『平和という名の廃墟』 - 基本読書

    平和という名の廃墟 上 帝国という名の記憶 (ハヤカワ文庫SF) 作者:アーカディ マーティーン早川書房Amazonこの『平和という名の廃墟』は、前作『帝国という名の記憶』で長篇デビュー作ながらもヒューゴー賞を受賞したアーカディ・マーティンの第二作にして二部作の後篇となる。前作は書名に「帝国」と入っているように、宇宙をまたにかける銀河帝国と、その宮廷で繰り広げられる皇帝の跡継ぎ問題なども関わってくる陰謀劇を中心に描き出す、いわばスペース・ポリティカル・サスペンスとでもいう作品であった。 著者は大学でビザンツ帝国史の博士号を取得し、別の大学で都市計画の修士をとるなど専門的背景のある人物だが、まさにそうした専門性や知識を活かして、前作では宇宙帝国とその在り様を生き生きと、美しく描き出していた。宇宙帝国ならではの特殊な文化・概念の書き込み、帝国とそれが実質的に植民地支配した周辺諸国との微妙な力関

    ヒューゴー&ローカス賞受賞の、対話が可能なのかすらもわからぬ相手との決死の外交を描く宇宙・ファーストコンタクトSF──『平和という名の廃墟』 - 基本読書
  • イスラエルのSFを集めた、恐ろしく質の高い傑作アンソロジー──『シオンズ・フィクション』 - 基本読書

    シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選 (竹書房文庫) 発売日: 2020/09/30メディア: 文庫この『シオンズ・フィクション』は、イスラエルSFの傑作16篇を集めたアンソロジーである。訳者の一人である山岸真さんがの雑誌などで凄い凄いと書いていたので期待していたのだけれども、読み始めてみれば、たしかに恐ろしく質が高い作品が揃っている。それも、イスラエルの文化歴史を反映させた、あまり味わったことのない発想や表現が出てくるので、4篇ほど読んだところでイスラエルにこんなスゲーSFの書き手が存在していたとは……と幽遊白書の魔界トーナメントの気分を味わった。 しかし、それも不思議なことではないのかもしれない。編者二人による巻末に置かれた「イスラエルSF歴史」は、『イスラエルという国家は、質的にサイエンス・フィクション(SF)の国とみなしてもかまわない──地球上でただひとつ、一冊では

    イスラエルのSFを集めた、恐ろしく質の高い傑作アンソロジー──『シオンズ・フィクション』 - 基本読書
    iwiwtwy
    iwiwtwy 2020/10/08
    ポーランド人などのアシュケナジムやポーランド系アメリカ人、イスラエル本国のユダヤ人らは、なぜこんなにもSFが好きなの…。ちなみにカプセル内視鏡はイスラエル強いよ!
  • 時間旅行が当たり前になった世界特有の精神病理を描き出す、時間SF✕ミステリ──『時間旅行者のキャンディボックス』 - 基本読書

    時間旅行者のキャンディボックス (創元推理文庫) 作者:ケイト・マスカレナス発売日: 2020/09/10メディア: Kindle版この『時間旅行者のキャンディボックス』はケイト・マスカレナスのデビュー作にして、時間旅行が当たり前に存在する世界での様々な精神的な病を描き出す、時間旅行心理学とでもいうような領域を切り開いた珍しいタイプの時間SFである。 時間旅行はウェルズの『タイムマシン』以降SFではありふれたギミックだけれども、大抵の場合、時間旅行をして「何をなすのか」が重要になる。最近だと歴史改変合戦で自陣の勝利に導くことが目的のアナリー・ニューイッツ『タイムラインの殺人者』が出ているし、ジョディ・テイラー『歴史は不運の繰り返し』は、時間旅行を用いることで歴史事件の調査を行う人々が中心の物語である。一番よくあるのは、『STEINS;GATE』のように、大切な人を守るためや、死や世界の破

    時間旅行が当たり前になった世界特有の精神病理を描き出す、時間SF✕ミステリ──『時間旅行者のキャンディボックス』 - 基本読書
    iwiwtwy
    iwiwtwy 2020/09/23
    ローマ教皇選出のコンクラーヴェへのアイロニーかしらね。宗教と時間の結束を破壊する精神病理でもあるし。
  • 暗殺作戦、苦難のすべてがこの一冊にまとまった、圧倒的な密度を誇る大著──『イスラエル諜報機関 暗殺作戦全史』 - 基本読書

    イスラエル諜報機関 暗殺作戦全史(上) 作者:ロネン バーグマン発売日: 2020/06/04メディア: Kindle版イスラエルの諜報機関──モサド、シン・ベト、アマンの3機関はその能力の高さから世界中に恐れられている。何より暗殺の作戦数が豊富で、一説によるとイスラエルがこれまで国として行ってきた暗殺作戦は2700件にも及ぶという。イスラエルが国として成立したのが70年前の1948年であることを考えると、驚異的な数といえる。 というわけでこの『イスラエル諜報機関』は、そんなイスラエルの諜報機関がこれまで行ってきた暗殺作戦を、その最初期から現代に至るまで丁寧に追った一冊になる。イスラエルの諜報機関の情報って公開されてんの?? と疑問に思ったが、やはりまったく公開されていないみたいで、国防省に調査協力を求めても無意味。イスラエルの各情報機関に、法律の規定に基づいて過去の文書の資料開示を要求す

    暗殺作戦、苦難のすべてがこの一冊にまとまった、圧倒的な密度を誇る大著──『イスラエル諜報機関 暗殺作戦全史』 - 基本読書
    iwiwtwy
    iwiwtwy 2020/06/17
    カプセル内視鏡はイスラエルと日本で覇権を争っていましたよ
  • 一級品のサスペンスを読んでいるかのような緊張感がみなぎる、スノーデン決死の告発への道──『スノーデン 独白 消せない記録』 - 基本読書

    スノーデン 独白: 消せない記録 作者:エドワード・スノーデン出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2019/11/30メディア: 単行アメリカ国家安全保障局(NSA)による国際的な監視網についての告発でその名を轟かせたエドワード・スノーデン。彼についてのは、暴露した内容に焦点を当てたものも彼自身についてのものも無数に出ているが、書はその中でも全篇にわたって人が書いている(のか語っているのか)、半生を綴った自伝であるというのが特徴。 正直、スノーデンの暴露した内容ではなくてスノーデン自身には興味がないし、特に子供の頃の話とか何も興味ねえなあ。でも山形浩生さんが訳しているから読んでおくかなあぐらいのローテンションで読み始めたのだけれども、いやはやこれはびっくりするほどおもしろい! まず、一九八三年生まれと僕とそこまで年代が離れていないこともあり(僕は八九年生まれ)、幼少期にハマっ

    一級品のサスペンスを読んでいるかのような緊張感がみなぎる、スノーデン決死の告発への道──『スノーデン 独白 消せない記録』 - 基本読書
    iwiwtwy
    iwiwtwy 2019/12/28
    「好きになる女の子の父親はほぼFBI」ってとこ、めちゃくちゃ共感した。
  • 演技を通してその人の人生を浮かび上がらせてゆく──『プロフェッショナル13人が語る わたしの声優道』 - 基本読書

    プロフェッショナル13人が語るわたしの声優道 作者: 井上和彦,大谷育江,関智一,田中真弓,千葉繁,飛田展男,冨永みーな,朴璐美,速水奨,平田広明,三ツ矢雄二,宮充,森川智之,藤津亮太出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2019/05/25メディア: 単行この商品を含むブログを見る藤津亮太さんが聞き手となって行われた、インタビュー集である。すべて雑誌『Febri』に掲載されたもの。対象は1980年代後半から1990年代前半にキャリアをスタートさせた、今ではトップのベテランの人々で、連載の単行化は『声優語〜アニメに命を吹き込むプロフェッショナル〜』に続く二冊目/後篇となるけれども、こちらもビッグネーム揃いだ。13人の名前と目次のコピーを並べると下記になる。 朴 璐美  自分の体験・体感が根底にないと当にならない 井上和彦  自分の幅を全部使って演じたい 千葉 繁  主役は大っ嫌

    演技を通してその人の人生を浮かび上がらせてゆく──『プロフェッショナル13人が語る わたしの声優道』 - 基本読書
    iwiwtwy
    iwiwtwy 2019/06/04
    プロフェッショナルの言葉は何を聞いても面白い
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