(IDWR 2002年第13号掲載) ツツガムシ病はOrientia tsutsugamushi を起因菌とするリケッチア症であり、ダニの一種ツツガムシによって媒介される。患者は、汚染地域の草むらなどで、有毒ダニの幼虫に吸着され感染する。発生 はダニの幼虫の活動時期と密接に関係するため、季節により消長がみられる。また、かつては山形県、秋田県、新潟県などで夏季に河川敷で感染する風土病で あったが(古典型)、戦後新型ツツガ虫病の出現により北海道、沖縄など一部の地域を除いて全国で発生がみられるようになった。 疫 学 ツツガムシは一世代に一度だけ、卵から孵化した後の幼虫期に哺乳動物に吸着し、組織液を吸う(図1)。その後は土壌中で昆虫の卵などを摂食して生活する。わが国でリケッチア(以下、菌)を媒介するのは、アカツツガムシ(Leptotrombidium akamushi )、タテツツガムシ(L. s