A.T.カーニー プリンシパルの吉川尚宏氏は、前職の野村総合研究所(NRI)時代に、台湾でアジア初の3Gオークションとなった制度設計を担当した経験を持つ。このような専門的見地から、構成員を務めた総務省のICTタスクフォースでもオークション制度に関する意見を述べてきた。そんな吉川氏に、台湾の経験で得た制度設計のポイントや、日本のオークション制度に対する提案などを聞いた。 台湾では2002年2月にアジア初の3Gオークションを実施した。その際、台湾政府は、事前に周波数帯の落札額はどのくらいの水準が妥当なのかのバリュエーション(価値の算定)をしておきたいということだった。英国やドイツなどで落札額が高騰していたこともあり、バブルにはしたくなかったのだと思う。 また台湾はIT立国でもあり、オークションを実施するとなると外国資本の流入などによって台湾ドルが高騰する。政府にはその懸念もあった。 そこでNR